「五十嵐ってさ、織灯…鬼灯さんのこと好きなの?」
瞬間、顔が沸騰するのが分かった。羞恥心のあまり、私はうつむいた。
「え?まさか当たっちゃった?」
「…四月朔日君、鋭すぎ…」
「ごめん、悪気はなかった」といいながら四月朔日君は苦笑する。悪気があったらとんでもないと心の中でいいながら私は顔の火照りをとった。
蒸し暑い外でなかなか火照りのとれない私の顔が正常値に戻る頃、四月朔日君は何かを考え込んでいた。
「…今日、服買うのってデートか何かのため?明日デートするならその時告白するから雪羅さんに付き合ってもらった…って感じ?」
私は目を丸くした。信じられない。出会って10分も経ってない私の行動理由を推理してしまったのだ。
「…3分の2正解。残りもいい線いってるけどちょっと違う」
私は今までの出来事を語り始めた。途中、爆笑されたりもしたが私は今に至る経路を全て話した。
「五十嵐ってさ…スッゲ―鈍感だよな。それこそ男を生殺しにする天才ってぐらい」
「鈍感はつい最近自覚した。でも…男を生殺しにする天才ってどういう意味?」
「明日デートなら分かるよ」と言いながら、四月朔日君が立つ。
「俺、友達と待ち合わせだから。日射病に気をつけなよ」と言い、四月朔日君が立ち上がる。
「男を生殺しにする天才…?」
私は首をかしげ、その意味を考えた。


