百鬼夜行の主



―此処は何処…?


私は、どこか分からないゆらゆらとした場所にいた。


私はゆっくりと、自分の体をみる。


いままであった傷は消えている。なぜかは分からないが、私は自分の体が治っていることに安心する。

あたりを見渡し、私は何かを視界に捉える。


それは、真っ赤に燃え盛る炎だった。


私はそれに手を伸ばす。瞬間、


「本当に、いいの?」


頭の中に、誰かの声が響く。

―誰?


「本当にいいの?力をもったら、もう人間と同じではいられないよ?」


その声は、一番聞き覚えのある声―自分の声だった。その声は、自分の心の奥深くにあるものだと、私は気づく。


「…あなたは、本当に力を―鬼の力を持っていいの?」


私は微笑み、首を小さく縦に傾けた。


―守るために、戦うために力がほしい。だから、後悔もしない

私は炎の中に手を入れた。瞬間、炎が私の体を取り巻き、砂が水を吸うように私に入った。


熱くはない。心地の良い温もりが身体に宿った。