鬼灯side
『ウッ…』
俺は身体の痛みに呻きながら、目を覚ました。身体のいたるところが悲鳴を上げる。
あたりを見渡すと、そこは廃ビルの部屋だった。
俺は自分の頭を抑え、記憶の糸をたどる。確か俺は主様との帰り道、主様の同級生の「四月朔日」という方に会って…
『……確かあいつの攻撃をくらってそのあと…』
ふと自分の腕を見る。腕には幾重にも包帯が巻いてあった。腕だけではない。両足や、首から腹部に当たるところまで包帯がきっちり巻いてあった。
『…あいつにやられたのか…』
俺はゆっくりと寝かされていたベッドから身体を起こし、窓の近くに歩く。
窓の外から、青白い光が揺らめいていた。
『…狐火だな。しかもかなり強い…』
おそらく今回の敵は気狐、しかも気狐の妖怪でもかなり力のある部類だろう。
俺は踵を返し、ベッドの枕元に置いてあった着物に袖を通す。首に巻いてあった包帯を解き、首切り包丁を掴む。
『…主様、待っていてください』
絶対守りますから―窓を開け放ち、窓から外に出る。俺は狐火が灯る先まで走った。


