『お仲間とのお別れはすんだようだな』
気狐がゆっくりと口角をあげ、嘲笑を浮かべる。
私は鼻で笑う。
「別れなんかしない。俺が死ぬのは、百鬼夜行が滅んだ時だ」
気狐が口角をあげた。瞬間、気狐が殺気を放つ。人間なんかが放つことなどできないぐらい、普通の人間なら腰が抜けてしまうほどの殺気を―放つ
『だったら、百鬼夜行もろとも殺してやろうじゃねぇか!!』
殺気とともに、妖気が放たれる。すさまじい量の妖気が突風へと変わり、気狐の体を取り巻く。獣の咆哮にも似た音を立て、突風が吹き荒れる。
瞬間、突風が一瞬で消え失せる。突風の中に―気狐が居ない。
「どこだ…!?」
私はあたりを見渡す。瞬間、
『主様、上だ!!!』
雑鬼の叫び声が耳に届く。私は上を見上げる。そこには何かの大きなシルエットが浮かんでいた。
私は地面を蹴り、その場から離れる。
瞬間、砂煙を巻き上げ何かが着地する。
銀髪に緋色の目、牛若丸のような着物を着て腰には私の刀「魔天楼」よりも長い刀と狐の面をつけた、9つの尾をもつ青年が私がさっきまで立っていた場所に立っていた。
「…ついに本性を出したか、狐野郎」
気狐が口角をあげ、笑う―冷たい、背筋が凍ってしまいそうなほど冷たく笑う。
『じゃぁ…殺し合いと行こうぜ!!鬼李の娘!!』
再び、気狐が妖気を放った。私は刀に手を当てた。
―主どうしの戦いが、始まった


