私はヤタガラスの翼越しに町を見る。
青い狐火がゆらゆらと妖しげに町のあちこちで揺れている。
町の住民の声は聞こえない。どうやらこの狐火は普通の人間には見えていないようだ。
私はあたりを見渡す。
―すると、一ヶ所だけ狐火が異様に集まっている場所があった。私の通う学校のグラウンドだ。
よく見ると、大小様々な妖怪の姿もちらちらと見える。
―あそこだ!!
私はヤタガラスから飛び降りた。
風を切る音が、耳に入ってくる。それと同時に、妖怪達のざわめきも耳に入った。
私は身体をくるりと一回転させ、地面に着地した。
ゆっくり顔をあげると、前方に見慣れた「人間」の姿があった。
『よぉ、主。久しぶりだなぁ』
―四月朔日雨月だ。


