ぴちゃん、ぴちゃんと無機質な音が規則正しく私の耳に、頭の中に脳細胞全てに刻まれていく。
何が起きたのか、今目の前にいるのが誰なのか、なぜ自分が今いるのかさえ、分からなかった。
静かな、ただ静かな道に響くのは無機質な音。自分の呼吸している音も聞こえそうなほど静まり返った此処で響くのは無機質な―赤が落ちる音。
「ホ…ォ…ズ…キ…?」
絞り出された声。それがスイッチだったのだろうか。
鬼灯が赤を吐いた―綺麗な赤が―鮮血が私の頬につく。生温かい、どろりとしたそれが現実だと言うことを―自分の前で何が起こったかを教えた。
「…嫌…」
嫌だ…イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ…
「…あぁ…ああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ!!!!」
突如、獣のような雄叫びが静かな道に響き渡った。
いやだいやだいやだ!!
鬼灯!
お願いだから返事をしてよ!!
嫌だよ!!
死なないでよ!
何で返事してくれないの!?
お願いだから…ヘンジヲシテヨ


