「まあまあお二人さん、もうやめましょうよ。
仲良くやりましょ!」


そんなディレクターの指示も無視。


これは女同士の血で血を洗う決闘よ、といわんばかりにケンカ腰のキャッチボールは続いた。


あほらしくなった生徒が一人、また一人と去り、気がつくと誰もいなくなった。


ソフトボール部の正規部員も用具を片づけをはじめ、ベランダのギャラリーもすっかり家路に向かっている。


校門の外にいる野次馬だけが「がんばれー」と、熱心に、根気強くゆりりんに声援を送っていた。


やがて、見かねた氷室が口を開いた。


「二人とも、もうやめてくれ!
お願いだから。
ボクのことでケンカするのは勘弁してほしいんだ」