野球をしている上原は一段と輝いていた。
………いつしか私はそんな上原の姿に釘付けになっていた。


「…だろ?あの頃のあいつをお前に見せてやりたいよ。」

「見たいな~…今じゃ、分からないもんね。」

野球部の皆しか知らない、明るい彼。

「何なら、見る?」

翔太はカバンから携帯を取り出して、私に渡す。

「…それが絢斗。」


そこには、すごく笑顔で、部員逹と肩を組んでいる上原が写っていた。
満面の笑みで、その写真からは、上原がムードメーカーだったことが分かる。


「楽しそうだね。」

「動画もあるよ。見る?」


画面には、再生準備中の文字。


「「翔太ー、写ってんのか?」」

「「おぅ。」」

動画からは、翔太と上原の話し声。
もちろん、画面には野球が大好きだった上原。

「「拓矢ーー、翔太が動画撮ってんぞ。」」

奥で食べていた拓矢が駆け寄ってくる。

「「いぇーい翔太!滝高は、こいつのおかげで甲子園に行ったんだぞ。」」

「「さすが絢斗。お前は格好いいよ。」」

「「当たり前だろ!来年は、皆で出ような!」」


上原の夢、それは、皆で甲子園に出ること。……だったんじゃないかな。


「「やべぇ、もう切れる!」」

翔太の声と同時に動画が終わる。