「ランニングー」

放課後の練習。
いつも通り、赤い夕焼けの下、皆がグラウンドを走る。




「遥香、記録頼む。」

そういって、手に持っていた記録表を私に手渡す。



「拓矢、12秒25!……俊治、12秒10!」


走り終えた俊治が拓矢に駆け寄る。

「拓矢先輩、今日は俺の勝ちっすね。」

「たかが今日勝ったくらいで調子乗んなっ、バーカ」

脱いでいた野球帽で俊治の頭を叩く。

「翔太、11秒36!……知哉、12秒47!今日は翔太1位だね!」

「いつも、だろ?」


翔太は本当に足が速い。
幼稚園、小学校、中学校、毎回リレーでは一位。

「今でも足速いんだね!」

翔太は若干のドヤ顔見せながらも、照れ笑いした。


「お前ら、ラブラブすんなっ!」

見かねた拓矢が口を挟む。


「ごめんなさーい」

記録表を持ってその場から逃げる私。

怖い、怖い。