もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚

「あの……、優衣にお願いがあるんだけど」


瞳をキラキラと輝かせながら、両手を合わせる沙也香。


「なーに?」


「あのね……、大谷のアドレスを聞いて欲しいの」


「えーっ、無理、無理、無理っ! 私が聞くのはおかしいでしょ。沙也香が自分で聞いた方がいいって」


「だって私、聞く機会がないんだもん。優衣、お願ーいっ」


日頃、何かとお世話になっている沙也香の、初めての頼み事。


「まじで!?」


「うんうん、まじで」


仕方なくその頼み事を引き受けて、優衣は仕事に戻った。


それからバイトの終了時刻まで、聞き出すチャンスを狙っていたけれど……、


タイミングを外しまくり、収穫のないまま店を出る。


「はぁ〜っ。やっぱ、聞けないよーっ」


行き交う人達で賑わう駅。


オレンジ色に燃え盛る夕焼け空が、優衣の瞳に眩しく映る。


(明日、さり気なく聞くしかない!)


気持ちを切り替えてバスに乗る。