もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚

大丈夫ではなかった……。


身長156cmの優衣にとってその場所は、背伸びをしてやっと届くという高さである。


身長180cmの大谷はそのカードを簡単に抜き取ると、意地を張る優衣を無視して自分のカードと置き換えた。


「入店時刻ってのは、1分1秒を争うからなっ」


(へぇーっ? そんな気を遣ってくれるなんて、意外……)


優衣は、少しだけ肩の力を抜いた。


「大谷がここでバイトしてるなんて、全然知らなかった。いつからやってたの?」


「1年の夏ぐらいからだったかなぁ……。まぁ、尊敬すべき先輩ってことだな」


「はいはいっ……」