もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚

ピーカーーッン！


昨日の荒れた黒が嘘のような真っ青な空を、夏雲が気持ちよさそうに泳いでいる。


色とりどりの花壇に繋がる水の放物線が、７色に光る虹のアーチを映しだす眩しい放課後……。


校舎を囲むように広がる花壇の管理、これも生活委員の仕事である。


「優衣ーっ、今日からバイトでしょ!?　あとは私がやっておくから」


「大丈夫っ、水やりの時間はちゃんと計算してあるから。沙也香だって、今日はアトリエでしょ？」


「うん！」


沙也香の両親は、どちらも医者。


エリート一家の１人娘は将来も有望だと期待され、塾に家庭教師、そして英会話教室……。


一週間のスケジュールは、ビッチリと組み込まれている。


ただ、週に一度、絵を描くことが好きな沙也香のわがままで、絵画教室アトリエに通えるようになった。


今日は、そのアトリエに行く日。


だから、沙也香は機嫌がいい。