もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚

濡れた体を簡単に拭き取ると、パイル地のバスローブを素早く着込んだ。


今度は、そのポケットの中におじさんを隠す。


『モー、押し潰さないでオクレヨ』


「分かってます!」


バスルームのドアを開けて、2階に走ろうとした。


ところが、玄関の方から誰かが話す声が聞こえてくる。


どうやら、弟の陽太(ようた)が彼女の夏月(なつき)を連れて帰宅したらしい。


陽太は今、中学3年生。


夏月とは幼なじみで、野球部のピッチャーとマネージャーという、まるでコミック雑誌定番のシチュエーション……。


それはさておき、2階に上がるには、どうしても玄関を通らなければならない。


じわじわと進みながら、様子を窺う。