もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚

「えっ、なーに?」


ひそひそと話す優衣の声に、沙也香が反応する。


「なっ、なんでもないよ!」


首を横に振りながら、おじさんを隠す。


「私、滑れるかなぁ……」


「そっかぁ。沙也香、初めてだもんねっ」


「うん……。大谷、教えてくれるかなぁ」


「教えてくれるよ! 相当、自信あるみたいだから」


「あーっ、優衣。ひとのことだと思って、適当に流してるでしょ!?」


「そんなことないよ! この、おニューのウェアとボードで、今日は頑張るんでしょ!」


「うん」


「健闘を祈ってるからっ」


「ありがとう。やっぱり、優衣の応援が1番のパワーになる!」


「うん……」


嬉しそうに優衣の手を握る沙也香。


けれど……、


その細い手を握り返すことができない。


(沙也香、ごめん……。私、同じひと好きになっちゃった……)