…はずだった。 「待って。」 「…へ?」 低めのよく通る声と力強い腕に引っ張られて、私は勢いよく後ろにいる人の腕の中に転んだ。 「いたっ…ちょっと!!なんなんですか!?」 半ば怒り気味にそう口にすると、その人は悪びれた様子もなく、「あぁ、ごめん」と口にした。 「目の前で死のうとしてる人がいたら、止めるのは普通のことだと思うけど?」 「そう…だけど…」