ある日のこと





千尋がいつになく眠そうな顔をしながら教室に入ってきた




「おっふぁーい空」


「おはよーどうした?」



眉間にしわを寄せ薄目をしながら椅子に座る千尋




「んーーなんか最近体がだるくてさ」


「あーそういう時期か?」




まだ俺もよくわからないが



妊婦さんは常に具合悪いイメージがあるんだよなー




千尋は病弱とかそういうイメージないから余計に心配になる




「まあもしあれだったら保健室とか行って休みな?」


「うん、まだ大丈夫だけど
本当に辛くなったらそうするね」




そう言ってノートをうちわにして扇ぐ千尋



「あっつーーーーいーー」



「溶けそうだなー」




この日は33度を超える猛暑だった



「飲み物とかは?なかったら買ってこようか?」


「大丈夫、お茶があるから」


「おう、そっか」




俺は取り出した財布をしまう



その時に千尋が俺をガン見していたのは気づかなかった