気分屋さん

そして、友紀達は家に到着し今日のことを話していた。



「折角のお出掛けだったのに…なんか、台無しにしちゃってゴメンネ…。」



友紀は悲しげな表情を純に向ける。



「いや、これは友紀のせいじゃないさ。あれは、あの痴漢野郎のせいだから、気にすんなよ!」



純は友紀を気遣い元気付けようとしていた。


「しっかし、あの痴漢野郎ふざけやがって!!俺だって触ったことないのに(友紀のお尻)!!羨ましいな、チクショー!!」



純は拳を握りしめて、大声で叫んでいた。ご近所さんに聞こえていないか心配なところだが、それを聞いていた友紀は、ちょっと引き気味の顔を純に向けて言う。



「…えっ何言ってんの?気持ち悪いんだけど…痴漢希望者だったの…?」



純は焦りながらも急いで、弁解した。



「いや、そういう意味で言ったわけじゃない!!これは…ただ…その…」



途中まで言った、純は言葉を止めた。その続きの言葉を言っても良いのか迷っていたからだ。



純にとって友紀は大切な人だから、その気持ちを伝えようか悩んだ。



「早く、その後言わないと今後一切、家に入れること拒否するよ?」



友紀の追い討ちに純は後を続けた。



「…その、友紀には誰も触れさせたくなくてさ…その最初に触れたのが痴漢野郎なだけにカッとなってしまった。」



純は真剣に後の言葉を友紀に伝えたのだか、友紀に想いはまだ届いていないのか、そのまま、おふざけになってしまった。



「はぁ?何カッコつけてるの?もう、いつもの純らしくないなぁ!本当に痴漢希望者なのかと思っちゃったじゃん!アハハ!でも、嬉しかったよ!ありがとう!」



友紀が笑顔になったのは嬉しいが純の気持ちが複雑になってしまったことに友紀は気付いていなかった。