気分屋さん

「………」



友紀は少し離れたところで、震えながら涙目で純を見ていた。相当怖い思いをしたのだろう。



純は友紀の近くに行き、友紀を気遣うように優しく自分の方へ抱き寄せた。



フワッ



「ちょっ…純!?」



「ごめん。友紀に怖い思いさせて…俺がもっと早く気付いていれば、こんなことには…」



純は自分がもっと早く痴漢に気付いていれば…と自分を責めていた。



「…ううん、大丈夫。捕まえてくれただけでも嬉しいよ、ありがとう」



友紀は素直な気持ちを純に伝えた。



暫くして、警察が到着し事情を聞かれ、友紀は事情を説明しあとのことは警察に任せた。



「家に帰ろうか?」




ガヤガヤガヤ…




すると、周囲から声が聞こえてきた。



純と友紀は自分達の世界に入り、外に居ることをすっかり忘れていた。



「おぉ〜お家デートかい?」



「彼女すっかり怯えてたからちゃんと可愛がってやんなよ」



周りから、そんなことを言われながら私達は周りの人に一言お礼を言って帰路についた。