そして、私達は変な空気のまま電車で遊園地に向かうことにした。



私はつり革に掴まり、純も私の隣でつり革に掴まったまま数十分間無言だった。



(こんな状態のままで遊園地楽しめるのかな…やっぱり…)



そう思った瞬間、お尻辺りに変な違和感があった。



サワサワ……



(…えっ?……な、に?……お尻に……手が………痴漢!?…ヤダ……怖い………)



私は涙目になりながらも、何も出来ないままでいると、だんだん魔の手はエスカレートしていき、ついには下着の中に手を入れようとしてきた。



スルッ



(……イヤッ)



私は目を瞑った…



その時!!
純が魔の手を掴み痴漢を睨み付けていた。



ガシッ




「おい…お前…何してやがる…」



いつも以上に純の声は低かった。



「……えっ?純……」



私は嬉しくなった。純が魔の手から私を助けてくれたからだ。さっきまであんな状態だったのに、ちゃんと私を見ていてくれていた。



電車は駅に止まり、純はその痴漢を電車から引きずり降ろした。



「すいません〜許してくださぁい…ついほんの出来心で〜…本当にすいませんでしたぁ〜」



痴漢が泣きべそをかきながら、土下座で必死に謝っていた。それを周りの人や駅員が見に来て何事かと人だかりが出来ていた。



「いい歳こいて、痴漢なんかしてんじゃねーよ。反省しろ」



純はすごく怒りながらも、冷静に言葉を吐き捨てた。