「御園生、厳しいことを言うようだけど、誰も傷つかない道なんてないよ。人を好きになったらどこかで誰かを傷つけているかもしれない。それはごく当たり前のことだし不可抗力なんだ。わかりやすく説明するなら、海斗と立花が両想いで付き合い出したら、立花を好きな俺は傷つく。それと同時に、俺を好きな七倉も傷ついてる。この図式、誰が悪いってあると思う?」
 御園生が首を振ると、涙が流れた頬に髪が張り付いた。でも、御園生はそんなの気にも留めない。全神経が自分に向けられている。
「そう……誰が悪いとかじゃなくて、仕方のないことなんだ。幸せが不幸の上に成り立つとは言わない。でも、そういうものなんだ。誰も傷つかない方法なんてそうそうない」
 自分の恋愛もうまくいってないのに、何を俺は指南してるんだか……。
 でも、頼ってくれたことが嬉しくて、自分に話せることがあるなら全部話そうと思った。