バージンロードには赤い絨毯も何も敷かれていない。ただただ白い大理石が真っ直ぐ祭壇へと続いている。
 チャーチチェアのバージンロード側と祭壇に上がる階段の両脇にはたくさんのポインセチアが飾られていて、結婚式というよりは、どこかクリスマス色が強い気がした。
 さっき目にした水色の正体を突き止めるために祭壇奥を見つめると――。
「お父さんっ、空っ」
 前列にいるお父さんが振り返りにこりと笑った。
「ここ、空のチャペルってコンセプトなの。気に入った?」
 訊かれて、力いっぱい頷いた。
 祭壇部分は半球体になっており、縁取る壁面は三日月に見えなくもない。壁のいたるところにアイビーが這い、垂れ下がっている。
 まるで洞窟の中に教会があるみたい。なのに、突き当りには空があるなんて……。
 あ、れ……?
 祭壇のもっと手前。視界に入る人物を注視した。