小屋の外に立つ秋斗さんをじっと見ていると、
「長居すると身体に障るよ」
 長居――。
 香乃子ちゃんが出ていってからどのくらい経っているのか……。
 時計を見たところでわかるはずがない。最後に時計を見たのは、梅林館前でバスの時間を見たときなのだから。
「……友達が出て行ってから十分経ってる」
「っ……」
 動揺に身が揺れる。
 話、聞かれていたの……?
「用務員室で原島さんがお茶の用意をしてくれてる。鍵は戸口の脇にかかっているから出ておいで」
 言われても私は動けなかった。
 息を詰めたまま秋斗さんを見ていると、秋斗さんは小屋をぐるりと回って中に入ってきた。