「どうして警護についている人間が彼女の持病のことを何も知らない?」
「えぇ、気になりますね。お嬢様クラスの警護においては持病に始まり交友関係まですべて網羅している人間がつくはずですが」
 あまりにも不可解な点が多すぎる。
「こういったことは早期にクリアにすべきです」
 そう口にしたあとの蔵元の対応は早かった。
「システム開発第一課所属蔵元です。人事の件で日下部部長にお話をうかがいたいのですが。――はい、ありがとうございます」
 携帯を切ると、
「秋斗様、人事部部長、副部長ともに社長室にいらっしゃるそうです。私たちも参りましょう」