ここに入るのに防寒対策とマスクを装着するようになったのはリィの側にいるようになってから。
「ホント変な子」
 リィはちょっと身体が弱くて純粋培養ってだけでほかは極々普通の子なのにね。
 俺の不摂生な生活を自主的に改めさせるなんて驚きだよ。
 秋斗さんは脅迫材料ぶら下げて俺を人の道に戻してくれた。
 リィはそういうの何もなく俺を動かした。
 さらには俺の上をいく不摂生人間の秋斗さんまで更生させちゃったんだから末恐ろしい。
 これって人間業なのかな?
 実はリィって人類とは別の種族に属してたりするのかな?
 半分は真面目、もう半分はバカみたいなことを考えながら、かばんから自分のノートパソコンを取り出す。
 パソコンを起動させると、早速リィのGPSを受信した。
 加えて、ツールバーで点滅しているものを音背表示に切り替える。
 すると、時々ふ、と跳ぶリィの脈拍が聞こえてきた。