「私、この中身、全部見てしまったの。そしたら、なぁに? あなた、秋斗様とも個人的にずいぶんと親しくていらっしゃるのね? 藤宮一族でもなく、内進生でもないのにどうしてかしら」
「っ……それは、兄が秋斗さんの後輩だからです」
「ふぅん……それにしては、秋斗様からのメールの熱烈ですこと」
 本当に全部見られたのだ。
 受信履歴と送信履歴を交互に見れば、会話の全容が見えるだろう。
 今さら感じても遅い焦りを感じ、背に汗が伝った。
「それなのに、司様にも色目を使って……」
「違うっ」
「あら、何が違うのかしら? 藤宮の殿方をふたりも手玉に取っている方の言葉とは思えないわ」
 ……そういうことなのね。
「どういうつもり」と訊かれたのは、秋斗さんとツカサのことなのね。
「これ、篠塚さんの作品よね?」
 彼女が触れているのは秋斗さんからいただいたストラップ。
 でも、シノヅカって……誰?