翌日の木曜日、帰りに携帯がないことに気づいた。
「翠葉、どうかした?」
 飛鳥ちゃんに訊かれ、
「ん……携帯をどこにしまったのか忘れちゃって」
「何言ってるのよ。翠葉はいつもかばんか制服のポケットでしょう?」
 桃華さんに言われ、そのとおりだと思う。
 けれど、ポケットもかばんもすでに探したあとだった。
「最後に見たのっていつなの?」
 桃華さんに言われて考える。
 今日は――。
「……あ、ごめん。たぶんコートのポケット。朝、ポケットに入れてそのまま」
「なーんだ」
「……意外とドジね」
「心配かけてごめんね」
「ううん。じゃ、私部活だからまた明日!」
 飛鳥ちゃんは元気よく教室から出ていった。