漣と話す翠を見ると、心なしか顔が火照っているように見えた。
 翠が好きな男って、まさか漣か……?
 いや――だとしたら失恋はない。
 携帯に目をやると、そこには先ほどよりも上昇した体温が表示されていた。
 三十七度五分……。
 もう滋養強壮剤の効果とは言えない数値。
 間違いなく疲れから発熱を始めている。
 紅葉祭期間に客から風邪をもらった可能性だって考えられる。
 打ち上げには行かせずこのまま連れて帰りたい。
 そうは思うが胸に留める。