「低音弦はピッチ維持してるので、ここから合わせます」
「耳がいいのね」
「どうでしょう……」
ほんの少し笑みを添えて答えた。
ナイロンの太い弦ならば、すぐに張替えは済む。
けれど、張り替えたばかりの弦は音が安定しない。
それに、このハープ自体、ワイヤー弦以外の音が全体的にずれ始めている。
張替え作業よりもチューニング作業に時間が取られそう……。
弦の張替えが済み、チューニングに移ったとき、
「椅子、座れば……」
葉月さんに言われた。
「あ、りがと……」
すこし間抜けな返答だったのはびっくりしたから。
敵意がなくなったわけじゃない。
でも、楽器に触れることは許してもらえた気がした。
それだけで十分――。
「耳がいいのね」
「どうでしょう……」
ほんの少し笑みを添えて答えた。
ナイロンの太い弦ならば、すぐに張替えは済む。
けれど、張り替えたばかりの弦は音が安定しない。
それに、このハープ自体、ワイヤー弦以外の音が全体的にずれ始めている。
張替え作業よりもチューニング作業に時間が取られそう……。
弦の張替えが済み、チューニングに移ったとき、
「椅子、座れば……」
葉月さんに言われた。
「あ、りがと……」
すこし間抜けな返答だったのはびっくりしたから。
敵意がなくなったわけじゃない。
でも、楽器に触れることは許してもらえた気がした。
それだけで十分――。