正直、驚いている。ものすごく驚いている。
 でも、何に一番驚いているかというのなら、目の前にいる海斗くんに驚いている。
 こんな海斗くんは今まで見たことがなかったから。
 頭の中でいくつか確認事項を並べ、それらをゆっくりと口にした。
「それは、海斗くんもツカサも秋斗さんも湊先生も、みんな同じ?」
「え? あ……そうだけど?」
 海斗くんは私の質問を意外なものを見るような顔で見た。
「……大変なんだね。すごく、大変なんだね」
 ごめんね。気の利いたことが言えなくて。
 でも、他人事とかそういうわけではなく、私とは違うものを抱えているんだな、と思ったの。
 私は体調を維持するうえでの制約がある。
 けど、海斗くんたちはその家に生まれたというだけで、こんなことに気をつけて生活しなくてはいけないのだ。