「あっそ……。じゃ、早く休むように」
『ありがとう。おやすみなさい』
 通話ボタンを切って考える。
 どっちがうろたえてるんだろうか、と。
 そのとき、ノック音が聞こえてドアを振り返ると、姉さんがずかずかと入ってきた。
「今日くらいは早めに寝たら?」
 実に姉らしいことを言われて奇妙な気分だ。
「少し本を読んでから寝る」
「それ、嘘ね。あんたが本を読み出したら一時間から二時間はまず寝ない。しかも、一冊じゃ物足りなくて二冊目に手を出すのがオチ」
 そんなところはよく見てるんだな、なんて暢気に構えていた。
 が、次の行動に目を瞠る。