「佐野は思ったことをそのまま口にしただけだと思う。でも、俺は――」
「私もよ。三年過ぎたらそのあとは? って訊かれた気がしたの」
「環境ってすごいな? 俺も同じこと考えた。だから俺、とりあえず十年二十年先に引き延ばしてきた」
「……相変わらず抜け目ないわね」
「一番抜け目ないのは司だけどな」
 そう言って、抜け目ない男ふたりの保険屋の話を聞いてから九階へ――翠葉のいるゲストルームへ向かった。