若槻さんに肩のあたりを触られてビク、とする。
「あ、ごめん……」
「ごめんなさいっ――なんか、ちょっと……ごめんなさい」
「ううん、いいよ。俺と蒼樹さんは違うし……。それに、今は体に触られること事体も怖いんじゃない?」
「……そうかも――でもっ、若槻さんが嫌いとかそういうことじゃなくて――」
 慌てて弁解すると、
「ありがと。でもって、秋斗さんのことも嫌いだから嫌なわけじゃなくて、怖かったり恥ずかしかったりするだけなんでしょ?」
 コクリと頷くと、ドアがノックされ開かれた。
 そこに立っていたのは司先輩。
 濡れ鼠はきれいなサラサラの黒髪に戻っていた。
「これ、なんの集会?」
 私たちは顔を見合わせ、「兄妹会議?」と声を揃える。
「あぁ、そう。じゃ、俺は邪魔ね」
 と、すぐに部屋のドアを閉めた。
 そのあとの若槻さんの一言。
「彼、淡白だよね?」
 妙な空気に包まれた部屋が、司先輩の訪問により一転して笑いに包まれた。
 私、こうやって笑ってお話したいだけなんだけどな……。
 その先へ進まなくてはいけないんだろうか……。
 みんなは、桃華さんや飛鳥ちゃん、理美ちゃんに希和ちゃんはどうしているんだろう――。