なんと説明してあげたら理解を得られるだろう。
「実際に雨が降ってるわけじゃないんだよ? ……拓斗くんは落ち込むことってないかな?」
「ある! 試合に負けたときっ!」
 真っ直ぐに人の目を見て答えてくる。
「うん、それをね気持ちが晴れるとか曇るとか、そんなふうにたとえているの」
「あっ! わかったよ! じゃぁ、お姉ちゃんは今かなしいの? 試合負けちゃった?」
 上目がちに心配そうな視線を注がれる。
 うぅぅ……拓斗くん、かわいい……。
 でも、私にとって試合って――つまりは体との闘いとか学校へきちんと通えるかとか、きっとそういうこと。
「拓斗くんは悲しいことや嫌なことがあったらどうする?」
「うーん……テニスのラケット振ってボールを打つ! それかサッカーボールを思い切り蹴るっ!」
 その返答に思わず笑みがもれる。
「それはすっきりしそうだね?」
「お姉ちゃんは?」
「私はね、お空を見るとなんとなくすっきりする気がするの」
「ふーん……お空、ねぇ?」
 拓斗くんがベッドに腰かけ、一緒になって窓から見える空を見た。
 かわいいなぁ……。
 今は空よりも拓斗くんを見るほうが癒される気がする。