「ごめん……手、つないでるの忘れてた」
 顔を上げるに上げられず、視線だけツカサに向けて謝ると、
「別にいいけど」
 ツカサはぼそりと零してそっぽを向く。
「ま、いじめだかケンカだか知らねぇが、仲直りも完了してんだろ?」
 ツカサは相変わらず無表情だったけれど、私は嬉しくて「はい」と答えた。
「おまえら飯は?」
「学校が終わってすぐに来たからまだです」
 ツカサも、だよね?
「だと思った」
 笑いを含んだ声が後ろから聞こえ、振り向くとそこには私服姿の楓先生がいた。
「楓先生っ!」
「翠葉ちゃん、久しぶり」
 久しぶりというほと久しぶりではないのだけれど、「お久しぶりです」と答える。
「顔色はあまり良くないけれど、体調はどう?」
 顔色がいいなんてあまり言われたことがないから、これが私の「普通」な気がする。