病院に着くころには幾分か気持ちも落ち着いていた。
 ふたり揃って九階へ行くと、
「なんだ、その顔……」
 これが相馬先生の第一声だった。
 散々泣いたからひどい顔なんだろうな、とは思っていたけれど、こんなふうに言われてしまうくらいにひどいのだろうか。
 トイレで顔だけ洗ってくれば良かった……。
 訊かれた内容になんて答えようか少し考え、
「ツカサにいじめられました」
「ほぉ……仲良く手ぇつないでいじめか。それはまた新手ないじめだな?」
 ニヤリと笑われて気づく。まだ手がつながれたままだったことに。
「わっ――」
 私は慌ててツカサの手を離した。
 どちらかというと、私が掴んでいて放さなかった感じがしたから。
 頬が熱を持つのがわかるほどには恥ずかしい。