彼女を乗せる前からかけっぱなしにしてあったカーステから、「Close to you」が流れてきた。
 それに気づいた彼女が、
「ミュージックプレーヤー、見せてもらってもいいですか?」
「どうぞ」
 黒いボディのそれを手に取り、曲目リストを見た彼女がこちらを向く。
「……どうして七曲ごとに『Close to you』……?」
 そんなの決まってる。
「翠葉ちゃんが大好きな曲だから」
 それ以外の答えなどない。
 信号で止まり彼女を見れば、頬を少し赤らめた。
「ありがとうございます」
 ミュージックプレーヤーをぎゅ、と握ったまま口にする様がかわいくて仕方がない。
 真っ白な肌がほんのりと色づく変化が好き。