光のもとでⅠ

「私は――私はいつから秋斗さんを好きだったんでしょう?」
「俺が気づいたのは中間考査の翌週だったと思う。だから、五月の末くらいかな?」
 五月の末――入梅するちょっと前。
 薬を飲むのを遅らせた時期……。
「何か思い出せそう?」
「いえ――でも、さっき、本館へ戻るとき、少しだけ思い出したんです。秋斗さんと手をつないで噴水広場のキャンドルをきれいって言いながら歩いたときのことを。ちゃんと会話も風景もセットで」
「本当に……?」
「はい」
「ディナーのときは……?」
「あれは――前にもホテルで秋斗さんにエスコートされたこと、ありましたか?」
 それには自信がない。