「うん、なんだか大丈夫な気がする。よし、お風呂っ!」
 頭から爪先までぴっかぴかに磨いて大きなバスタブに身を沈める。
 壁にいくつかのボタンがついていたので適当にそれらを押すと、バスルームの照明が消えた。
「きゃっ……」
 次の瞬間にはバスタブの中が光だす。
 緑、青、紫、赤、ピンク、白、黄色――。
 そんなふうに順番に色を変えていった。
「きれい……まるでクリスマスのイルミネーションみたい」
 よく見えない中、ボタンをあれこれいじっていると、それらの光の強さが調節できることに気づく。
 まぶしくない程度の光量に設定すると、そのままバスタブに身を預けた。
 色々押していたらブクブクと泡まで出てきて余計に幻想的。
 ぼんやりと水流を見ながら考える。
 思い出せる気はする。だけど、怖い……。
 でも、逃げないと約束をした。
 少し考えてみたけれど、さっき思い出した会話で言った「大好き」。
 あれに恋愛の意味はなかった気がする。
 なら、私はいつ秋斗さんを好きになったのだろう――。