光のもとでⅠ

「翠葉ちゃん、あの柄の悪いセンセとずいぶん仲良くなったみたいだね?」
 秋斗さんはそんなふうに言うけれど、思ったよりも柄は悪くなくて紳士だ。何よりも頼もしくて優しい。
 そう説明すると、
「翠葉ちゃんがほかの男を褒めていると嫉妬しそう……」
 などと、顔を歪めた。
 なんだか、自分よりも九歳年上というのが嘘みたいだ。
「ここの中庭はどうしてか少し涼しく感じるんですよ」
 少し話を逸らすと、
「あぁ、そういうつくりになってるからね」
 と、にこりと笑って答えてくれる。
「……つくり、ですか?」
「この手の話しは蒼樹の専門じゃない?」
 秋斗さんが蒼兄に話を振ると、
「歩きながら話そう」
 と、病室を出ることになった。