その夜は蒼兄がお素麺を茹でてくれて、それを少しだけ口にした。
「それしか食べないのか?」
「……ごめんね」
「ちょっと待ってろ」
蒼兄は席を立つとキッチンへと入って行く。
そして冷凍庫を開け電子レンジがジーと動く音がした。
数分して戻ってきた蒼兄の手にはスープカップがあった。
カップを差し出されて驚く。
「っ……!? 蒼兄、これっ」
椅子に座ってにこりと笑う。
「栞さんのスープ。いくつか小分けにして冷凍してくれてるんだ」
自分がいないときのこういう事態も想定済み?
「それだったら飲めるだろ? 少しは胃にものを入れておかないと。どんどん胃が小さくなってもっと食べられなくなるぞ」
「ん……これなら飲める」
そう答えると、蒼兄が満足そうに頷いた。
夕飯を食べたらお風呂に入る。そして上がってくると、私の部屋ではすでに寝る準備をしている蒼兄がいた。
看護用の簡易ベッドをセッティングしているのだ。
懐かしい……。
退院してきた頃は必ず誰かが私の部屋で寝てくれていた。
お父さんだったりお母さんだったり蒼兄だったり……。
でも、ダントツお母さんと蒼兄が多くて、お父さんはいつも、「また負けた」ってしょんぼりしていた。
お父さんはどうしてもお母さんには逆らえないみたいで、蒼兄にはどうしてか抑えこまれてしまうのだ。
そんなお父さんはなんだかんだと家族に甘い。色んな意味で優しい人なんだろうな、と思う。
「それしか食べないのか?」
「……ごめんね」
「ちょっと待ってろ」
蒼兄は席を立つとキッチンへと入って行く。
そして冷凍庫を開け電子レンジがジーと動く音がした。
数分して戻ってきた蒼兄の手にはスープカップがあった。
カップを差し出されて驚く。
「っ……!? 蒼兄、これっ」
椅子に座ってにこりと笑う。
「栞さんのスープ。いくつか小分けにして冷凍してくれてるんだ」
自分がいないときのこういう事態も想定済み?
「それだったら飲めるだろ? 少しは胃にものを入れておかないと。どんどん胃が小さくなってもっと食べられなくなるぞ」
「ん……これなら飲める」
そう答えると、蒼兄が満足そうに頷いた。
夕飯を食べたらお風呂に入る。そして上がってくると、私の部屋ではすでに寝る準備をしている蒼兄がいた。
看護用の簡易ベッドをセッティングしているのだ。
懐かしい……。
退院してきた頃は必ず誰かが私の部屋で寝てくれていた。
お父さんだったりお母さんだったり蒼兄だったり……。
でも、ダントツお母さんと蒼兄が多くて、お父さんはいつも、「また負けた」ってしょんぼりしていた。
お父さんはどうしてもお母さんには逆らえないみたいで、蒼兄にはどうしてか抑えこまれてしまうのだ。
そんなお父さんはなんだかんだと家族に甘い。色んな意味で優しい人なんだろうな、と思う。


