秋斗さんに先を促され、その先――地獄のような日々を思い出す。
「両親が現場に戻ってからも痛みはひどくなるばかりで、蒼兄と唯兄が何度も病院へ連れて行ってくれました。病院では静脈注射を打たれて意識を手放すような処置しか受けられず、唯兄はひどく憤慨していたし、私は……これは長く続けられないから、そろそろペインクリニックのお世話になるのかなって漠然と思っていました。痛みに対する苦痛と、次の治療に進む恐怖と、自分でもわかるほどに余裕がなくなっていく日々――。自分が気づかないうちに大好きな人たちを傷つけるのが怖くて、すべてが怖くて、でも、もう痛みに耐えられる自信もなくて……。湊先生が毎日のように点滴をしに来てくれていたけれど、それすらも苦痛になっていました」
 思い出して話すのもつらい。
 でも、秋斗さんもツカサも、このときの私が何を考えていたのかを知りたがってる。
 それはのちの出来事につながるからだろうか……。