「私は秋斗さんの心労のもとでしたよね……」
「違うっ」
「違わなくないだろ……」
 秋斗さんが慌てて否定し、ツカサは冷静に諌める。
 きっと、ツカサが正しいから「諌める」という言葉がしっくりくるのだ。
「ごめんなさい……」
 私はただ謝ることしかできなかった。
「こうやって謝られるほうが堪えるよ……」
 秋斗さんは搾り出すように声を発した。
「翠葉ちゃん、左手は俺が借りてもいいかな」
 私よりも高い位置にある顔。なのに、上目がちにお願いされている気がする。
 今度は私が手を差し出した。
 すると、その手が大きなあたたかい手に包まれる。