病室に戻ると、部屋がこざっぱりとしていて、きれいに掃除が済まされていた。
 掃除のおばさんが来る時間には早いから、きっと栞さんが済ませてくれたのだろう。
 そしてベッドへ上がると、「朝食よ」といつもと同じトレイにいつもとは違うものが載っていた。
「これ……」
「私特製よ」
 ふっくらとした卵焼きにほうれん草のお浸し。
 きっと、ほうれん草のお浸しにはだし汁がかかっている。
 それから私の大好きなハマグリのお吸い物。
 五分粥と豚肉でアスパラを巻いて焼いたもの。
 それから、栞さん特製野菜のドロドロスープ。
 それぞれが少しずつ小鉢や小皿に載っていた。
「徐々に食べられるものを増やしましょう」
 なんの気負いなく言われ、「はい」とい答えた。
 カラフルなカトラリーを渡され、ハマグリのお吸い物に口をつけると、「おっす」と昇さんが入ってくる。