促されるままにリビングへ行くと、サンドイッチからオードブル、サラダにビーフシチュー、より取り見取りに料理が並んでいた。
 ローテーブルだけれど、立食パーティーみたいなメニュー。
 器に最初から盛られていて、これだけは絶対に食べなさい、という一人前仕立てではなく、好きなものを好きなだけどうぞ、のスタイル。
 フォークやナイフ、お箸、スプーンなどのカトラリーはカウンターにまとめて置いてあり、必要なものを手にすればいいようになっていた。
 カウンターの中には須藤さんが立っていて、みんなに飲み物を振舞っている。
「翠葉ちゃんは何にする?」
 静さんに訊かれてミネラルウォーターをお願いした。
 静さんや唯兄を見るとお酒を飲んでいて、そういうところを見て唯兄が成人していることを認識する。
 唯兄は大人なんだけど、どこか自分に近いものを感じていて、大人という気がしない。
 唯兄と蒼兄はふたつしか変わらないけれど、蒼兄は大人に見えて、唯兄はなんとなく自分寄りの気がしてしまうのだ。