道場を出て桜香苑を歩く。
もう新緑とは言えず、少し深まった緑の葉を茂らせ、風でサワサワと音を立てていた。
ふと立ち止まったのは翠がよく座っているベンチのあたり。
ベンチのあたり、というのは、翠はベンチに座っていることは少なく、たいてい芝生の上に座っているからだ。
午前とはいえ、もう陽は高く上っている。
「暑いな……」
弓道場は桜香苑の中にあり、道場のすぐ脇には藤山から流れてくる小川と、それが流れ込む池がある。
水辺に建っているというだけで、吹き込む風は割と涼しい。
ただ、この時期は湿気がひどく身体にまとわりつく。
道着のまま芝生に座る。
最初は座っていたのだが、気づけば身体を倒し横になっていた。
空模様は相変らず曇り。
「これが青空だったら気持ちいいんだろうな……」
翠もそんなふうに空を見ているのだろうか。
翠は常日頃から空や風、そこにあって当たり前のものを嬉しそうに眺め、または感じる。
その理由はなんなのか……。
それらから得られるものはどんなものだろう。
もう新緑とは言えず、少し深まった緑の葉を茂らせ、風でサワサワと音を立てていた。
ふと立ち止まったのは翠がよく座っているベンチのあたり。
ベンチのあたり、というのは、翠はベンチに座っていることは少なく、たいてい芝生の上に座っているからだ。
午前とはいえ、もう陽は高く上っている。
「暑いな……」
弓道場は桜香苑の中にあり、道場のすぐ脇には藤山から流れてくる小川と、それが流れ込む池がある。
水辺に建っているというだけで、吹き込む風は割と涼しい。
ただ、この時期は湿気がひどく身体にまとわりつく。
道着のまま芝生に座る。
最初は座っていたのだが、気づけば身体を倒し横になっていた。
空模様は相変らず曇り。
「これが青空だったら気持ちいいんだろうな……」
翠もそんなふうに空を見ているのだろうか。
翠は常日頃から空や風、そこにあって当たり前のものを嬉しそうに眺め、または感じる。
その理由はなんなのか……。
それらから得られるものはどんなものだろう。