砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 龍星にしてみれば、今すぐにでも深く抱きたいところなのに、それは彼女を傷つけそうだからと、その全てを抑えてぎりぎりの距離を保っているのだ。
 それなのに当の本人は無自覚に人の欲望を目覚めさせようとする。

 目が覚めたら胸の中に顔を埋めている始末だ。

 これ以上の忍耐を架すというのか?

「ごめんなさい」

 怯えた仔犬の訴えを無視して、力の限り抱きしめる。




 本当は、彼女は何も悪くないのに。

「ごめん、ね、龍」

 途切れた息、今にも泣き出しそうな声。
 我に返った龍星は慌てて腕の力を緩めた。

「毬は悪くない。
 ごめん、怖がらせて。
 もう苦しくない?」

 怯える彼女の頭を優しく撫でた。

 離れようとする毬にそっと言い聞かせる。

「毬は良い子だから、ここに居て」

 自分にも言い聞かせるように、そっと。