砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

 毬が目を覚ますと外はもうすっかり白んでいて、隣には龍星が眠っていた。
 長い睫毛と筋の通った鼻をうっとりと見つめる。

 龍星の香の匂いも、仄かに残る酒の匂いもとても好きで、毬は無邪気にその胸に顔を埋める。

 男と女が同じ部屋で眠る、ということはこれ以上の意味があると知らないわけではない。具体的に細かいことまで聞かれると、想像もつかないのだけれど。

 それでも、毬は寝付くまで面白い話を聞かせてくれる龍星と同じ部屋で眠るという今の状態がとても気に入っていた。

「悪戯仔犬が狼に食べられるって話、知ってる?」

 甘えてそのまま瞳を閉じていたら、優しい声が聞こえた上に、ふいに抱きしめられてびっくりした。

「龍、ごめんね。
 起こした?」

 慌てて離れようとすると、ますますぎゅうと抱きしめられる。
 息もできないほど、強く。

「起こされた。
 だから、しばらく離してあげない」