砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

「……そうなんです。
 私、前の主人との間に子供が出来たのですが、それがお腹の中にいる間に亡くなって。
 今は新しい主人と暮らしているのですが、それを妬んでか水子の霊が夜に昼に悪戯を繰り返して困っているのです。
 もう、おかしくなってしまいそうで」

 女は早口で言うと再び泣き出した。
 これでは何も分からない。

 龍星は諦めた。

「少しお待ちいただけますか?
 一緒にそちらに伺います」

 その言葉に泣いていたはずの女は、瞳を輝かせて微笑んだ。

 龍星は身支度を整え、使いの者(これもおそらく人ではない何者か)に雅之への手紙を託し、寝ぼけ眼の毬をそっと抱き寄せ出かけてくる旨を伝えて、家を出た。


 向かう先は、都の南西の端辺りだった。