砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】

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「はい」

 しつこく扉を叩く音に目を開けた龍星は、しぶしぶ外に出た。
 放っておいたら、隣でぐっすり眠っている毬まで起きそうな騒々しさだったので仕方がない。

 ようやく東の空が白くなり始めた頃だ。
 そこには、青ざめた女が一人立っていた。

 着物から判断して、下流貴族の女……あるいは、庶民だろうか。
 実際、彼女は京都の端に住んでいた。

「こんなに朝早く、どうしました?」

 龍星は不機嫌な低い声で聞く。

「お休みのところ申し訳ありません。
 でも、私、これ以上耐え切れないんですっ。
 水子の霊が・・・っ」

 女はそこまで言うと泣き崩れてしまった。

 抱き起こすなどという真似もできず、龍星はため息をかみ殺して女が落ち着くのを待った。