念には念を、と言いたいのか。

 その日、わざわざ帝の勅使が龍星宅まで牛車で出迎えにきてくれた。
 龍星はやれやれと、車に乗り込もうとした。


 その時。

「安倍様、本日は同行させていただきます」

 凛とした、少年の声が響いた。

 ――童部(わらべ)

 それは、陰陽師に使える少年の総称だ。
 一般の人に姿が見えるものも居れば見えないものも居る。
 陰陽師が術を行う手伝いをする、人とも式ともつかない存在だ。

 毬は今、まるで少年の姿で、つまりは童部を気取ってそこに立っていたのだ。